家を新築・購入しようとすると、下見や打ち合わせなどで、今まで知らなかった専門用語を見聞きする機会が多くなります。
もしも知らない用語があれば、その場で担当者に尋ねるのが確実ですが、会話の中によく出てくる用語なら知っておいたほうがベター。そこで今回は、使いこなすと担当者との会話がスムーズになる「プロっぽい」不動産・住宅用語を紹介します。
●法地(のりち)
法地とは、宅地として使用できない斜面部分の土地のこと。法面(のりめん)ともいいます。自然にできたものもあれば、宅地造成工事によってできたものもあります。
法地は宅地として使用できませんが、売買の対象面積には法地部分も含まれているので注意しましょう。また、法地部分が土地全体のおおむね30%以下なら不動産広告に記載しなくてもよいことになっているため、現地見学をしたら法地を含む土地だった…ということもあるかも知れません。
法地を保護する擁壁がない土地の場合は、別途、擁壁工事が必要になることもあります。擁壁工事が必要かどうかは自治体ごとに対応が異なるため、役所で確認しましょう。
宅地として使用できないことや、擁壁工事によって敬遠されがちな法地ですが、周辺の土地の相場より安価に設定されることが多く、土地の購入価格を抑えたいなら一考の価値はあります。また、斜面を活かして個性的な家をつくりたい人にも魅力的な土地といえるでしょう。
●隅切り(すみきり)
角切り(すみきり)と表記されることもあります。交差点の角地の土地において、角にあたる部分を斜めに切り取っているのを見かけたことはありませんか? あれが隅切りです。
隅切りは正式には「角敷地における建築制限」という土地の制限の一種です。土地の角部分いっぱいに門や塀などを建ててしまうと、交差点の見通しが悪くなり、車などが曲がるときに大きく膨らまなくてはなりません。そのため、土地の角を隅切りすることで見通しを確保し、角を曲がりやすくしているのです。
隅切りが必要なケースは自治体によって異なり、隅切りの方法や形状などもそれぞれの自治体ごとに規定があります。また、隅切りした土地を道路として整備することを義務付けている自治体もあれば、空地にすればOKとする自治体もあります。
角地の土地を選ぶときは、その土地が隅切りの対象となるかどうか、自治体の規定を役所で確認しましょう。
●ニッチ
ニッチを直訳すると「くぼみ」ですが、住宅におけるニッチとは、壁の一部分をくり抜いて設けたスペースのこと。絵画やオブジェをディスプレイしたり、小物などの収納スペースとして利用されることが多いようです。
暮らしの中で「ここに収納があればいいな」と思っても、新たに収納家具を設置するスペースに余裕がないこともあります。その点、壁をくり抜いたニッチなら、スペースを無駄なく活用できるので便利です。
ニッチは後付けが難しいため、基本的に新築か、内壁にかかわるリフォームに合わせて設けることになります。どこにでも設置できる訳ではなく、建物の構造にかかわる耐力壁などにニッチをつくることはできないので、ニッチをつくりたい場所やサイズ、用途などを打ち合わせ時に設計者に伝えておきましょう。
ニッチを設置する費用は、サイズや形状などにもよりますが、1ヵ所あたり約2万円~が目安です。
●手付金
手付金とは、不動産の売買契約を成立した際に買主から売主に対して支払うお金のことです。
手付金の相場は売買代金の1割程度で、契約成立後に売買代金に充当されるのが一般的です。なお、売主が不動産会社の場合、手付金は売買代金の2割が上限と定められています。
なぜ手付金を支払うかというと、契約成立後に何らかの事情で契約解除になった場合の違約金とするためです。
買主側から解約するなら、手付金を放棄することで、契約を解除できます。また売主側から解約するなら、預かった手付金の2倍の金額を買主に支払うことで、契約を解除できます。
気を付けたいのは、手付金が原則として現金払いであるということ。たとえば売買代金4000万円の1割を手付金とするなら、現金400万円を売買契約時に用意しなければなりません。
ただし近年は、現金払いを避けて契約前に手付金を振り込むケースも見られるので、不動産会社に問い合わせておきましょう。
手付金と間違いやすい言葉に「申込金(申込証拠金)」があります。これは、物件の購入を申し込む際に、その証明として売主に支払うお金のことです。申込金は、もしも後日、購入申し込みをキャンセルした場合は全額が返還されますが、そのまま契約が成立すれば、申込金が手付金の一部に充当されます。
●マイホームにかかわる用語に明るくなろう
不動産・住宅用語は、一般に馴染みのない用語や似ている用語も多く、分かりづらいことも。ですが、家の新築・購入を受け身にしないためにも、頻繁に見聞きする用語は押さえておきたいものですね。もちろん、用語の説明などを詳しく知りたいときは担当者に質問してみてください。