新築住宅の新たな選択肢として、2000年頃より普及が本格化した「オール電化住宅」。東日本大震災以降は普及のスピードがゆるやかになったものの、近年は環境意識の高まりなどから、あらためてオール電化のよさを見直す動きが広がっています。
そんなオール電化住宅には、どのような魅力があるのでしょうか。これから家づくりを始める方や、オール電化住宅に興味のある方は必見です!
●「オール電化住宅」ってどんな住宅?
オール電化住宅とは、家庭で使用する空調、給湯、調理、照明といったエネルギー源のすべてを電力でまかなう住宅のことです。
具体的には、電気温水器の「エコキュート」や、IHクッキングヒーター、床暖房などの住宅設備を導入することで、ガスを使わずに電気だけで快適に暮らせるのが特徴です。
●魅力その1「火災や事故のリスクが少ない」!
オール電化住宅のキッチンでは、電力で鍋やフライパンを加熱するIHクッキングヒーターを使用します。ガスコンロのように火を使わないため、ガスの消し忘れや、使用時に衣服の袖口などから着火する火災の心配がありません。
さらに、万一のガス漏れや不完全燃焼による一酸化炭素中毒も発生しないので、安心して調理ができます。
・火災保険が割引になるケースも
ガスや火を使用しないオール電化住宅は火災のリスクが少ないことから、火災保険に「オール電化住宅割引」を適用する保険会社もあります。
火災保険を選ぶ際は、保険料や補償内容に加えて、オール電化住宅割引があるかどうかもチェックしてみましょう。
●魅力その2「キッチンの掃除がしやすい」!
IHクッキングヒーターの天板はフラットなガラスプレートを採用しており、調理中の焦げ付きや調味料などの汚れが付着しても、サッと拭くだけで汚れを落としやすいメリットがあります。
ガスコンロのように、掃除のたびに五徳を外して洗い、さらに凹凸のある天板を洗う…といった手間がかからないので、毎日の家事の負担を減らしたい人におすすめです。
●魅力その3「災害時の対策としても有効」!
万一の災害で、電気・ガス・水道などのライフラインが断たれると、ふだんどおりの生活を送ることができなくなります。
特にオール電化住宅の場合、災害時の停電が心配ですが、一般的に電気はガスや水道よりも復旧が早いとされており、東日本大震災では発生後3日で約80%、発生後8日で約94%の停電が解消しました(※1)。
また、電気温水器の「エコキュート」には断水時にタンク内に貯めた湯水を生活用水として使用できる機能もあり、断水対策にもなります。
※1)経済産業省「3月11日の地震により東北電力 で発生した広域停電の概要」より
●節約効果があるかどうかはケースバイケース
一般的な住宅では電気とガスを併用するため、それぞれの基本料金を支払わなければなりませんが、オール電化住宅ではガスの基本料金が発生せず、電気に一本化できます。
だからといって、オール電化住宅のほうが光熱費が安くなるとは限りません。関西電力の調査によると、一般の住宅とオール電化住宅の世帯人数別の月間平均光熱費・電気料金は、「1人暮らし」「2人暮らし」では電気とガスを併用する一般住宅のほうが光熱費合計が安く、「3人暮らし」「4人暮らし以上」ではオール電化住宅のほうが電気料金が安くなっています(※2)。
・一般の住宅とオール電化住宅の世帯人数別の月間平均光熱費・電気料金
一般の住宅 | オール電化住宅 | ||||
電気料金 | ガス料金 | 他の光熱費 | 光熱費合計 | 電気料金 | |
1⼈暮らし | 5,482円 | 3,001円 | 651円 | 9,134円 | 10,777円 |
2人暮らし | 9,183円 | 4,330円 | 1,311円 | 14,824円 | 13,406円 |
3人暮らし | 10,655円 | 4,930円 | 1,169円 | 16,754円 | 14,835円 |
4人暮らし以上 | 11,836円 | 4,903円 | 878円 | 17,617円 | 16,533円 |
(関西電力HPより作成)
※2)関西電力HP「オール電化世帯人数別の電気代平均額」より作成
月々の光熱費・電気料金は、世帯人数はもちろん、お住まいの地域やライフスタイルなどによっても大きく異なります。ライフスタイルの観点から見ると、オール電化住宅は夜間の電気料金が安いプランを利用するため、日中は仕事などで不在が多く、主に夜間に電気を使用するライフスタイルの場合はオール電化住宅の節約効果を得やすいといえるでしょう。
●安全で快適なオール電化住宅を見直そう
火災や事故のリスクが少なく、毎日のキッチンの手入れや掃除がラクになるオール電化住宅。近年は電気代・ガス代ともに値上がりが続く状態のため、コスト面のメリットについてはケースバイケースですが、家づくりを計画している方は、この機会にオール電化住宅のメリットに目を向けて、我が家のライフスタイルに合っているかどうかを確かめてはいかがでしょうか。