初心者が戸惑いやすい、不動産や住宅の専門用語を分かりやすく解説。この機会にぜひマスターして、ご自身の家探しや土地探しにお役立てください。
●都市計画道路
土地や家を探していると、「この土地の一部は都市計画道路が計画決定しています」などと物件概要に記載された物件に出会うことがあります。
「都市計画道路」とは、都市計画法にもとづいて建設計画が決まった道路で、既存の道路の幅を広げたり、新たに道路を整備したりするもの。
その多くは高度経済成長期であった昭和40年代までに計画されましたが、実現までに長い時間がかかり、計画決定から現在まで工事の着工に至らないケースも少なくありません。
都市計画道路が計画決定している土地に家を建てる場合、「2階建て以下」「地階をつくらない」「主要構造部は木造・鉄骨造・コンクリートブロック造など」といった建築制限が設けられています。
また、都市計画道路が正式に事業決定すると建物の新築・増築は原則不可となり、市や都道府県からの買取りに応じることになります。
こうした制約があることから、都市計画道路にかかる土地は周辺の土地より価格が低めに設定されており、固定資産税も安くなります。
都市計画道路については購入時の重要事項説明で説明がありますが、自治体の窓口やWEBサイトなどでも手軽に調べることができるので、事前にチェックしておくと物件探しの際に役立ちます。
●角地緩和
「角地緩和」とは、角地(2つの道路に接した角の土地)に家を建てるときに、一定の条件を満たすと建ぺい率が10%加算されるという仕組みです。
建ぺい率は敷地面積に対する建築面積の割合ですので、建ぺい率が10%増えれば、通常の土地より家を建てられる面積が10%広くなります。
角地緩和を受けられる条件は自治体ごとに細かな違いがありますので、住みたい角地が対象になるかどうか、事前に確かめておくとよいでしょう。
たとえば市川市の場合、
・建築基準法の道路に接していること
・2つの道路の幅員を足して10m以上であること
・2つの道路が120°以内で交わっていること
・敷地の周長の3分の1以上が建築基準法の道路に接していること
といった条件をすべて満たすと角地緩和を受けることができます(市川市建築基準法施行細則第37条)。
家を建てられる面積が10%広くなる角地緩和は、角地を選ぶ大きな後押しとなるケースが多いです。自治体によっては隅切り(※)を積極的に推奨されることも多いので、併せて検討してみましょう。
※隅切りについては、こちらを参照してください。
●納戸
建築基準法では、住宅のなかで居住や執務、娯楽といった日常生活のために継続的に使用する部屋を「居室」と定めています。間取り図に、LDK・浴室・洗面所・トイレとは別に「洋室」「和室」と表記されている部屋は、すべて居室に該当します。
この居室の条件を満たさない部屋が「納戸」と呼ばれるもの。最近では「サービスルーム」や「デン(DEN)」ということもありますが、いずれも建築基準法における居室以外の部屋となっています。
ちなみに居室ではないので、間取り図などには「3LDK+S(サービスルーム)」「4LDK+DEN(デン)」のように表記されるケースが多いです。
では、普通の居室と納戸には、どのような違いがあるのでしょうか?
建築基準法では、居室の条件として「採光のための窓などの大きさを床面積の7分の1以上にすること」と定めています(建築基準法28条)。十分な広さがあっても窓の大きさや採光が不十分だと、その部屋は「居室」ではなく「納戸」となるのです。
とはいえ近年の新築住宅は、納戸も居室と同じようにコンセントや空調スリーブなどの設備があり、普通に使用できるケースがほとんど。個室やリモートワークスペース、趣味の作業場、クローゼット、書庫など、ライフスタイルや目的に合わせて活用してみましょう。
●理想のマイホームを手に入れるために
不動産・住宅用語は難解なものが多いですが、物件広告などでよく目にするものは意味を押さえておくとベター。物件の特徴やメリット・デメリットが分かりやすくなり、家探し・土地探しがスムーズになりますよ。